若隆景(寄り切り)逸ノ城全勝の髙安が分の悪かった碧山を押し出し、1敗の琴ノ若が2戦2敗だった埼玉栄高の先輩・翔猿を押し出して勝ち越し決定。優勝を争う力士が白星を重ねる中、1敗の新関脇・若隆景が土俵に上がった。
対戦相手は逸ノ城。過去の対戦は2勝2敗の五分で、逸ノ城が若隆景の右差し手を抱えて長い相撲になることが多かった。左上手を取れば逸ノ城、若隆景としては横から崩して攻めたいところだ。
立ち合い、逸ノ城が左張り差し。若隆景は左に動きながら、左おっつけで横から攻める。逸ノ城は相手の動きをよく見て突っ張りで土俵際まで追い込むが、若隆景は右を深く差してこらえ、逸ノ城が左から小手に振って土俵中央へ。若隆景は頭をつけて寄ろうとするが、逸ノ城は動かない。ここから膠着状態となった。
左上手が遠い逸ノ城は、左から抱えて前傾で体重をかける。若隆景は右を深く差して下手を取り、頭つける体勢。ともに上手は取れない。この体勢が長引けば、体の小さい若隆景が消耗していく。
2分近くになり、このままでは埒が明かないと若隆景が懸命の攻めに出る。右からあおり、左は下から強烈に絞ると、逸ノ城の上体が起き、左も差して廻しをつかんだ。若隆景は最後の力を振り絞って寄り立て、逸ノ城の左巻き替えに乗じて寄り切り、2分8秒の熱戦にケリをつけた。
「下から起こされないように、我慢ができました。しっかり集中して取れました」と若隆景。勝ち越しを決め、優勝も争っているが、「一日一番、自分の相撲取るだけです。体が小さいので下からという意識を持って、いい相撲を取っていきたいです」と目の前の相撲に集中していくことを強調。
結びでは新大関の御嶽海も1敗を守り、全勝の髙安、1敗の御嶽海、若隆景、琴ノ若は変わらず。2敗だった阿炎と貴景勝がともに敗れて、1敗グループの次は3敗となり、優勝は1敗までの4力士に絞られてきた感じだ。
文=山口亜土